令和元年(2019年)11月4日
一般社団法人日本POPサミット協会
会長 安達昌人
第21回全国大会「2019POPサミットin東京千住」が開催されてから、はや1か月以上を超えようとしています。
季節もすっかり晩秋の気配ですが、その後、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
今回は、会員の皆さんの積極的な参加協力により、これまでにない大きな成果を挙げたことを、心より喜んでおります。外部講師による有用なセミナーも実施できました。
今回の主たる課題は、当協会が地域商店街と提携して、会員が現場の手描きPOP広告を作成し、それぞれの個店に出向いて掲示するとともに、店舗演出等についても診断・アドバイスするという計画でしたが、その後、各店舗に立ち寄り伺ってみると、お店の方達がたいそう満足されている状況が理解できました。その意味で、企画は成功だったと考えます。
かつて協会では、商店街との提携事業の経験を持っています。横浜市経済局と元町商店街、東京北区経済課と十条銀座・十条中央商店街、また金沢市近江町市場商店街との提携などで、個店の店舗演出に関わっています。
しかし今回は、会員の皆さんが単に手描きPOP広告を作成するだけではなく、直接、該当店を訪問して経営者(または店長)と交流するという現場体験に、大きな意義があったといえます。POP広告を媒体にして、商店街、また商店の売りの現場の状況を、十分に把握する良い機会になったのではないでしょうか。
ただ、計画から実施まできわめて短時間であったため、会員の皆さんに大きな負担となったのではないかと推察いたします。実は、大変優れたプランであっても、なかなか提案をスムーズに受け入れてくれる商店街に当たらなかったという点もありました。まず、ふだんプライスカードは描いていても、意外にもPOP広告の効果が認識されていないこと、また商取引を慣習としている商店にとって、私達の発表成果である作品ではあれ、無料で進呈するという行為が理解できないこと、そしてなによりも、面倒くさい事業には関わりたくないという意識もあるのでしょう。イベントを実施する商店街では、行政の補助金・支援金を申請してすでに計画を立てて、割り込めないという事情もあります。
しかし、幸いなことに、東京足立区の千住旭町商店街振興組合(呼称・学園通り商店街)が、この企画を受け入れてくれることになりました。
9月22日(日)開催の恒例の「学園通りフェア」に協賛し、希望店を募って店頭に手描きPOP広告を掲示する案に賛同されました。ただ、商店街の宮本勝男理事長が理事会等で役員に訴えかけて承認を得、決定に至るまでにはかなり苦労され時間を要しました。日時が迫り、宮本理事長が懸命に会員に呼び掛け、11店のPOP作成参加店が集まって実施となりました。宮本理事長にはいろいろと便宜を図っていただき、心から感謝する次第です。
ここで簡単に、学園通り商店街を説明しますと、商店数約140店、常磐線北千住駅東口から500mの近隣型商店街です。2000年11月から、呼称を学園通りとしていますが、創立90周年の歴史を持つ地域の「私立足立学園(中学校、高校)」から来たもの。2012年4月には東京電機大学千住キャンパスが開校しています。学園通り商店街は1952年結成の68年の歴史を持つ、いわゆる下町の商店街ですが、昔ながらの商店に混じって、最近は若い客層に対応した新しいタイプの店舗も出店している状況です。
規模の大きい広域型商店街でなく、地域密着の近隣型商店街だからこそ、協賛することができたのだろうと思います。ちなみに、イベントにも熱心で、毎年6月には街路に敷いた長い用紙やビニール傘などに参加者が絵を描く「ストリートアート」、今回の9月の「学園通りフェア」(パート1)と11月の「学園通りフェア」パート2、12月の「光の祭典」などで集客効果を高めています。
さて、今回の事業を実施してもっとも重要な課題となったのは、コミュニケーション、すなわち情報の共有ということです。
11店のPOP作成参加店を対象に、それぞれの意向を聴取し、プランを会員の皆さんに配布して作品作り、そして各店への訪問など、きわめて期間の少ない押し迫った作業と行動ですから、情報の共有で問題が生まれてくるのは当然のことでしょう。協会内での意思の疎通、11店のお店への伝達と指導、その他で多くの悩みが生じたと思います。
しかし、だからこそ、今回の事業には大きな収穫があったのではないでしょうか。現場に即した手描きPOP広告作成とリアクション、店舗演出指導の難しさ、コミュニケーションの課題など、すべて私たちの蓄えとなって、今後の研究に、活動に活きてくるもの確信します。そして何よりも、商店街の各店が、提供した手描きPOP広告を喜んでくれるとともに、その効果を認識(意識改革)してくれたことは、素晴らしいことだと考えます。
今回のサミット(全国大会)については、いずれ詳しいデータをお届けすることになりますが、取りあえずここに、ご報告させていただきます。