令和3年(2021年)11月14日
一般社団法人日本POPサミット
会長 安達昌人
郵便局に出かけた際に、時折買っていた記念切手が溜まっていたので、それが今は、どれほどの価値になっているかを知ることも、郵政博物館訪問の目的の一つでした。
結果を言えば、明治・大正・昭和初期のよほど珍しい特殊切手は別として、ふだんの郵便料金と同等の値打ちということで、当ては外れました。
主な目的は、博物館の貴重な所蔵品を見ることです。
「郵政博物館」は、現在、東京スカイツリータウン・ソラマチの9階にあります。かつて千代田区大手町にあった「逓信総合博物館」が閉館し、その一部を引き継いだ施設として、2014年(平成26年)3月にオープンしたもの。
その起源は、1902年(明治35年)に万国郵便連合加盟25周年記念祝典行事の一環として、逓信省が開館した「郵便博物館」にさかのぼるとされます。
その後、逓信省は、交通・通信・電気を幅広く管轄していたことから「郵便博物館」を「逓信博物館」と改称。さらに、逓信省が郵政省と電気通信省に分割され、逓信博物館は郵政省の附属機関となり、戦争中の資料の疎開、逓信博物館の運営母体の一社であった東日本電信電話(NTT東日本)の離脱、また博物館が移転を繰り返し、現在の「郵政博物館」に至ったものです。
日本の郵便事業は1871年(明治4年)に始まり、1873年に郵便はがき発行開始、そして小包郵便取り扱い(1892年)、最初の記念切手(明治天皇銀婚)発行(1894年)、年賀郵便取り扱い開始(1899年)、鉄製の赤いポスト登場(1901年)などの軌跡をたどっています。
そこで、館内のテーマ別コーナーに展示されている所蔵物も、国内外の切手(約33万種)、郵便配達夫の帽子・制服、郵便行李、鉄道郵便車、そしてエレキテルと「エンボッシングモールス信号機」「ブレゲ指字電信機」(ともに重要文化財)、郵便貯金や簡易保険に関する各種展示物などと、価値ある品々で溢れています。
さて、「東京郵政局」が大手町にあった頃、当時の特定郵便局の局員の方を対象に「プリントゴッコ」によるDM講習を、理想科学工業の紹介で出講しました。
年賀状発売前の研修では、キャッチフレーズ作りの際に「元旦にもらってうれしい初便り」と書いた人がいて、それがのぼり旗にも活用されました。DM研修は、特定郵便局内の年賀状や暑中見舞い状のディスプレイ講習会にも発展。
その後、「関東郵政局」の「DMコンテスト」審査や、横浜市、新潟県へもDM講習で出張しています。
研修の時に、東京郵政局の郵便事業の課長が挨拶で「ネコには絶対に負けるな!」と全員にゲキを飛ばしていたのが記憶に鮮明です。当時、台頭してきた宅配便業界への競争意識と誇りでしょう。
民営化寸前で、年賀状が最盛期だった頃の、懐かしい思い出です。