一般社団法人 日本POPサミット協会
安達昌人会長
明けましておめでとうございます。
会員の皆様には、すこやかに新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
一般社団法人 日本POPサミット協会は、昨年8月1日をもって第14期を迎えました。
新型コロナの状況も小康を得て、社会全体の活動もほぼ通常に戻り、当協会も昨年は、第23回「サミット(全国大会)」の実施、会報誌《新年号、春号、夏号》の発行、会員向け勉強会の開催、各界へのセミナー講師派遣など、順調に事業の進展を見ることが出来ました。
特に「サミット」は、国立市旭通り商店街とのコラボ事業を実施し、会員の一致協力によって、希望店16店の手描きPOP広告を作成するなど、実りある年となりました。
片や、社会の情勢を見ると、大規模な震災・水害による多大な被害、極端な猛暑による農産物の不作、それらの環境異変の影響による物価の高騰、異常な犯罪の発生、さらに、海外の絶えることの無い戦争の悲劇など、人々の日常生活に暗い影を落としています。
ただ、パリオリンピックでの日本選手のメダル獲得や、メジャーリーグでの日本選手の活躍など、人々を勇気づける明るい話題も見られました。
さて、こうした状況にあって、今期の「事業計画」で、運営方針として「アクティブに邁進したい」と述べましたが、「アクティブ(active)」とは、活動的・積極的という意味であり、今や「自ら進んで盛んに働きかける」と、より明確化されて使われている言葉です。
そして、パリパラリンピック選手団の田口亜希団長の挨拶から《「勇気」「強い意志」「インスピレーション」「公平」の精神で臨む⦆といった言葉を紹介しました。まさにアクティブのキーワードと言えます。
「勇気」と言えば、チャップリンの後期の映画「ライムライト」で、足が麻痺して踊れなくなり、生きる気力を無くしたバレリーナを励ます言葉が有名です。
「All you need in life is courage, imagination, and a little bit of money. That's all.(人生に必要なのは、勇気と、イマジネーションと、少しばかりのお金だけだ))」。
さらに、傷心のバレリーナへの激励として、次の言葉があります。
「You're not thinking. You're feeling. You must do things with your heart.(くよくよと考えてはいけない、感じることだ。何事も心を込めてやらなくては)」。こうして、バレリーナは立ちあがります。
折しも、以前に協会の会員だった奥村加世詔さんから、便りが届きました。
これまでの事務所を閉鎖・改装し(築50年の木造家屋)、昨年11月に 「こども・シニア食堂」をオープンしたという報告です。その計画に当たり「クラウドファンディング」を実施し、調達した資金を改装費の一部にしたとのこと(当協会でも少額支援しました)。
「こども・シニア食堂」はこれまで温めていた計画だったのでしょう。第1回は多くの参加者があり、順調にスタートを切ったとは誠に嬉しいことです。
人生最終章として体の続く限り頑張って、子ども・シニアの食をサポートしていきたいと、抱負を述べています。奥村さんはもともと頑張り屋ですが、夢を実現すべく、着実に実行していく姿勢は立派だと感嘆し、まさにアクティブな活動だと考えます。
今や、生成AIが流通業界の主要な課題で、「ChatGPT」や「Copilot」は、その最も身近なAIアシスタントです。ChatGPTは一般的で幅広く、MicrosoftのCopilotはビジネス的と言われます。自分は、定期的にデータを更新するというCopilotの方を良く活用します。
例えば最近、業界誌に寄稿した原稿が「である調」であったものを、もう少しソフトにするため「です調」にしてくれるようにCopilotにプロンプト(指示)したところ、一瞬にして文体を変更してくれました。そのままでも使える自然な文章です。
このように、きわめて重宝なツールであることから、今やどの企業にあっても、従業員に生成AIの手法を取り入れ、自分なりに活かして成果に結びつけるよう勧告しています。
確かに要領の良い有効なデジタルの活用と言えます。ただし、この流れは、世の中に器用人ばかりを生み出していくような危惧も感じます。人間にとって大切な「イマジネーション」能力を失って行くのではないだろうか。イマジネーションは「想像力」であり、「創造力」の源泉となるものです。
私たちは、今後、ITの先進性や技法を吸収しながら、それ以上に、イマジネーションやクリイティブな感覚を重視して、活動していきたいと願うものです。
先のキーワードの「公平」の精神については、今や「公平」が犯されているのをよく見かける世相です。
昨年は「カスハラ(カスタマー・ハラスメント)」の言葉が目に付きました。実に不快な言葉です。購入した商品に対して過剰なアフターケアを執拗に求めたり、接客した従業員に過酷な言動をとることですが、人は誰でも公平であるべきです。特別な優越性を持って人を見下す、いじめるという行為は、人間の持つ悲しい一面です。
東京都が昨年、いち早くカスハラのガイドラインを公表し、本年4月に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行するのは、たいそう良い政策だと考えます。
一方、カスタマーに関連する言葉として「サイレント・カスタマー」があります。「サイレント・クレーマー」とも呼ばれ、カスハラとは対蹠的な存在です。
すなわち、製品やサービスに不満を抱いていても、その苦情を企業(小売店も)に伝ことなく離れていく顧客のことです。何故言わないのかといえば、「言いづらさ」や「面倒くささ」が挙げられます。この声なき不満を持つ「サイレント・カスタマー」は、ビジネスに深刻なダメージを与えるものとされます。
特にSNSが普及した今日にあっては、この不満をオンラインで共有することで、他の潜在顧客にも影響を与えることになります。
私たちも、POP広告を主要な事業とするサービス業です。仕事先から直接「カスハラ」を受ける例は少ないですが、不満を持つサイレント・カスタマー(仕事先)の存在を知ることは、なかなか難しいことです。
これまで、当協会では、ひたすら誠実に仕事を続けてきていますが、今後もいっそう心を込めて、事業に取り組んで行くことを願うものです。
事業を運営していく上で、今一つ重要なのは「サイバー対策」です。
昨年は、ANAやJALなどの航空会社がサイバー攻撃を受け、欠航・遅延の大混乱が生じたことは、目新しいところです。サイバー攻撃は、こうした大手企業ばかりでなく、中小企業にも及びます。デジタル社会にあって、その脅威はいっそう加速しているようです。
もし自分たちが被害を受けた場合には、自分たちのパソコンなどの機器が踏み台になって、関連する企業にも損失を与えるなど、重大なリスクが発生すると言われます。
では、私たちの協会として、どう対処すべきかは模索中ですが、現時点では、セキュリティのさらなる強化、不審なメールやネット検索には関わらない、重要なファイルは定期的にバックアップ、などの対策法が挙げられるようです。
協会では、十分な注意を配慮しますが、会員の皆様も常にセキュリティを更新し、ハッキング、フィッシング、ランサムウェアなどといったサイバー攻撃に、個々に対策を強化して、安全・安心な活動を願うものです。
以上、いろいろな観点で所見の一端を述べましたが、新しい年を迎えて、協会もさらにいっそうの進展を目指したいと願いますので、どうぞ会員皆様のご賛同とご協力をよろしくお願い申し上げる次第です。